浅間山で火山性地震が多発しています。浅間山が噴火する可能性はあるのでしょうか?噴火したら被害の影響の範囲は?日本で火山が活動期に入ったと見る向きもありますが果たして・・浅間山も!?
浅間山で火山性地震が増加
気象庁は22日、浅間山で火山性地震が増加する傾向があるとして、注意を呼びかけました。
4月下旬ごろから頻発していた火山性地震ですが、徐々に回数を増しています。火山活動を活発化させる可能性もあると考えられています。
現時点では特別な変化はなく、噴火警戒レベルも5段階中最も低いレベル1となっています。
それでも、最近日本中の火山で不穏な兆候が起こっており「もしかして浅間山も?」…と不安になっておられる方もおいででしょう。
浅間山も噴火してしまうのでしょうか?
浅間山噴火の可能性は?
浅間山は最近20~30年間は比較的穏やかな状況を保っています。
最も最近の被害の大きかった噴火は昭和13、22,33年と10年に1度のペースで起こした噴火でしょう。特に昭和22年に起こった噴火では噴煙の高さは12000メートルに達し、噴石により11名の犠牲者が出ています。
また有名な大噴火は1783年に起こった天明大噴火です。この噴火では火砕流や土石流が発生し記録に残っているだけで1400人以上が犠牲となっています。
2008年、2009年にも小規模な噴火を起こしていますが、大規模な噴火は当分先だろうと考えられていました。
しかし東日本大震災や御嶽山の噴火などの影響か、浅間山も噴火する可能性があるのでは?と言われています。
調べてみると、浅間山は10年周期で中規模噴火を繰り返しています。
前回の中規模噴火は2004年でした。それから11年が過ぎていますので、近々また中規模噴火を起こしたとしても不思議ではありません。
浅間山と御嶽山との比較
噴火するとすれば、Xデーはいつなのか。
そこで気になるのが御嶽山との関係です。
一概には比べられませんが、御嶽山が噴火する前の様子と現在の浅間山の様子を比べてみると噴火の兆候を感じるかもしれません。
御嶽山
9月10日 | 火山性地震を52回観測 |
9月11日 | 85回観測、その後20回/日以下の小康状態が続く |
9月16日 | 10日からの火山性地震の累計回数が200回を超える |
9月27日午前11時 | 火山性地震313回を観測 |
9月27日午前11時52分 | 噴火。噴火直前まで噴火警戒レベルは平常とされる1 |
このように、噴火3週間前から火山性地震が観測されていました。その後火山性地震が頻発しましたが、噴火警戒レベルは1のまま、噴火を起こしたのです。
浅間山
4月下旬から | 火山性地震増加 |
5月21日 | 53回観測 |
5月23日 | 火山機動観測班が現地に派遣され、詳細な調査の予定 |
Xデー | 噴火? |
もちろん、噴火するかどうかは地震が増加したからと言ってはっきりと確定できるものではありません。火山性地震が頻発しても噴火しないケースもあります。気象庁火山課長も、「地震の回数だけで噴火の前兆と判断するのは難しい」と発言しています。
しかし思い起こしてみると、御嶽山の時には、火山の兆候とも思われる詳細な情報が登山者まで届かなかったため、多くの無防備な登山者が犠牲になったとも言われています。
その教訓を生かし、気象庁には迅速な情報開示を行い、調査を行って頂きたいと思います。
また私たちが浅間山に近づくときには各自治体の発行するハザードマップなどに目を通し、危険予知を行うようにしましょう。
もし噴火したら被害の影響は
浅間山が噴火した場合被害の影響はどうなるのでしょうか。
中規模噴火の場合
可能性として高いのは中規模噴火です。2004年にも起こったような噴火が起こる可能性があります。
浅間山の中規模噴火は年々小さくなっており、2004年の噴火の時には火口に火山灰がうっすら積もる程度で、ふもとでは火山灰は確認されていません。ただし吾妻地方ではガラスが割れたとの被害も報告されているようです。
ただし、ふもとまで火山灰が飛んだ場合、吾妻地域は火山灰の影響で農産物は壊滅状態となるかもしれません。平野部の都市部でも、火山灰が積もり、生活に影響が出ることは避けられないでしょう。
また火口から4km以内では、50cm程度までの大きな噴石(岩塊)が飛んでくる可能性があります。明治時代以降の噴火で犠牲になった方々は、全て火口から4km以内にいた登山者で、噴石(岩塊)の直撃を受けて亡くなっています。
という訳で、噴火口にかなり近いところは細心の注意を払い避難する必要があるのはもちろんですが、麓でも火山灰や割れたガラスで怪我をしないように対策しておくことが大切でしょう。
大規模噴火の場合
ありえないと考えられている大規模噴火ですが、可能性は0とは言い切れません。
もし「天明の噴火」規模の噴火が起こったとすれば、どうなるのでしょうか。
昔の大噴火では、岩が飛んできたり、溶岩が流れたり、火砕流がきて、吾妻地域や渋川市あたりまで壊滅的な被害を受けました。
火山弾は普通で8~10Km、火山溶岩は15~20Km、火砕流は軽く100Kmを越す範囲まで達すると考えられます。
また火山灰は風向きに寄って日本海、太平洋まで達し、上空に達した火山灰は北半球の周りをまり、気候変動を起こすでしょう。
もしそうなれば日本を揺るがす大噴火となることは避けられません。
過去の噴火の影響で、吾妻地域では、神社の階段が火山灰で埋まった遺跡から人骨が発見されてます。もし浅間山が大規模噴火を起こしたら、同様の大惨事が起こることが想定されます。
これまでのところ天明規模の噴火は、今すぐ起こる兆候は見られないとされてきましたし、ハザードマップにもそう記されているはずです。
しかし、いずれ天明規模の噴火は必ず起こるとされています。日本各地で火山性地震の増加が報告されていることを考えると、浅間山も大きな活動期の入り口に差し掛かっているのかもしれません。
どうすればいいの?
浅間山の火山活動を注視したいと思います。
また気象庁から出される噴火警戒レベルに応じた行動を心がけましょう。
御嶽山の場合は噴火警戒レベルの発令が遅れました。
とはいえ、硫黄のにおいがしたり、普段と違う兆候が見られていました。
もちろん私たち素人が火山の兆候を見極めるのは容易ではありませんが、浅間山は近い将来いつか噴火するかもしれない山だということを肝に銘じ、付き合っていきたいと思います。
参考:浅間山火山防災マップ、ウィキペディア