「箱根山が噴火したら富士山も噴火するのでは?」といううわさがネットを中心に出回っています。「箱根山と富士山は兄弟みたいなものだ」とするサイトやブログも。果たして本当でしょうか。箱根山と富士山の関係性について調べました。
箱根山と富士山は兄弟?
噂の発端はこうです。
箱根山の群発地震と大涌谷付近の立ち入りの禁止のニュースにより、箱根山の噴火は近いと思われました。そこにもしかして富士山と関係あるのでは?という意見が目立ちだします。
一部のサイトでは「箱根山と富士山が兄弟関係にある」としています。それ故にどちらかが噴火するともう片方も噴火するとか。
ではその根拠はどこにあるのでしょうか。いくつかの根拠(と呼ばれているもの)を考えましょう。
地理的要因
箱根山と富士山はわずか25キロしか離れておらず、地下のマグマは繋がっているのではと考えられています。これだけ近いところにあるというのが、相互関係が考えられる一つの要因です。
東日本火山帯
もうひとつはどちらも同じ富士火山帯に属しているという点。富士火山帯とは新潟の妙高から南に向かい、富士山・箱根山を通り、三宅島や硫黄島まで伸びる火山帯の事です。この富士火山帯は東日本火山帯に含まれています。
さらに東日本火山帯は、東日本大震災を起こした太平洋プレートと密接に関連しており、東日本大震災後、活発期に入ったのではと言われています。
ちなみに2013年から噴火を繰り返している小笠原諸島・西之島新島、2014年に噴火した御嶽山、福島県で噴火を危険視されている吾妻山なども東日本火山帯に属しています。
共に兆候がある
箱根山も富士山もともに噴火の兆候が見られます。
箱根山の場合は、群発地震に始まり、噴火警戒レベルの引き上げなど噴火に向けた兆候が見られています。
ご存じのように富士山も噴火の兆候と見られるものが観測されています。
共に兆候があり、距離も近い二つの山の関係を兄弟と考える人がいるのもうなずけるところでしょう。
富士山噴火はあり得るか?
では仮に箱根山が噴火した場合、富士山噴火はありえるのでしょうか。
するかしないか学者の間でも意見が分かれるところのようです。
富士山に影響を及ぼすのではと考える学者の中には、先に述べた地理的要因に加え、大地震の後に大噴火が起こった世界の例を考える人もいます。
東日本大震災から4年がたち、地下でどのような変化が起こっているのか心配されるところです。
一方、富士山噴火には至らないだろうと考える人もいます。
その理由として、今回の箱根山の噴火が小規模な水蒸気爆発だと考えられている点を挙げることが出来ます。気象庁の北川貞之火山課長によると「マグマの上昇を示す観測データはなく、住民避難が必要になるような大きな噴火が起きるとはみていない」とのこと。
近しい関係にあるとはいえ、箱根山が噴火する時に必ず富士山も噴火してきたわけではないようです。
まとめ
富士山は噴火するのかしないのか。
はっきりとした答えは出せないものの、現時点ではそれほど深刻に考える必要はなさそうです。とはいえ、富士山周辺で噴火につながる兆候が見られているのもまた事実。
気象庁や火山学者さんに頑張っていただき、正確な情報を取り入れるようにしましょう。